キタサンブラック、祭りのあとも走り続ける父

キタサンブラックは、強さを派手に見せびらかす馬ではなかった。前へ出て、流れを作り、最後まで止まらない。祭りの歌が聞こえる外側で、走りそのものはいつも静かに骨太だった。

菊花賞本馬場入場のキタサンブラック
Kitasan-Black_IMG_7729r_R_20151025.JPG / Ogiyoshisan / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
20戦12勝
GI 7勝
天皇賞春連覇
有馬記念

菊花賞で、長い道が開いた

2015年の菊花賞。春の二冠はドゥラメンテのものだった。キタサンブラックはその影にいる馬のようにも見えた。けれど3000メートルでは影ではない。前で流れに乗り、苦しくなるところで粘る。派手な末脚で切り裂く馬ではない。簡単に止まらない馬だった。

キタサンブラックの記録

逃げても、控えても、崩れにくい

古馬になってからは、天皇賞春、ジャパンカップ、大阪杯、天皇賞秋、有馬記念と、大きな舞台を渡り歩いた。武豊騎手を背に、前へ出る。ペースを作る。相手が来れば、もう一度踏む。説明すると単純だが、GIの舞台で何度もやるのは簡単ではない。

2017年ジャパンカップのキタサンブラック
Kitasan_Black_Japan_Cup_(38692096812).jpg / nakashi / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons

関係者の言葉

清水久詞調教師は、北島三郎氏の発信力を受け止めながら、厩舎の仕事として馬を仕上げた趣旨を競馬ラボの取材で語っている。

父ブラックタイドと、母父サクラバクシンオー

父ブラックタイドはディープインパクトの全兄。母父は短距離王サクラバクシンオー。長い距離を走れる体と、前向きなスピード。その両方が、キタサンブラックをただのステイヤーにしなかった。

イクイノックスが、父の評価を変えた

種牡馬になると、初年度産駒からイクイノックスが現れた。天皇賞秋、ドバイシーマクラシック、宝塚記念、ジャパンカップ。世界の評価まで塗り替えた馬だ。さらにソールオリエンス、ウィルソンテソーロ、ガイアフォースも続く。祭りのあとに残ったのは、人気ではなく血の底力だった。

キタサンブラック産駒イクイノックス
Equinox_Tenno_Sho(Autumn)_2023(IMG1).jpg / Nadaraikon / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

代表産駒に見えるキタサンブラックらしさ

イクイノックス

世界的な評価を得た代表産駒。

ソールオリエンス

皐月賞馬。父の名前をクラシックへ戻した。

ウィルソンテソーロ

ダートの大舞台で存在感を見せる。

ガイアフォース

芝マイルから中距離で力を見せる。

産駒成績

集計年:2025年JRA成績

2025年成績では、キタサンブラック産駒は728走89勝、3着内231回。芝の出走と勝利が中心で、芝での輪郭が濃い。

728走出走
89勝勝利
12.2%勝率
31.7%3着内率
芝 544走(74.7%)ダート 184走(25.3%)
短距離14勝
マイル前後33勝
中距離27勝
長距離15勝

馬場別に見る

区分出走勝利勝率勝ち鞍の割合
544走75勝13.8%84.3%
ダート184走14勝7.6%15.7%

勝ち鞍の距離分布

距離帯勝利割合読み方
短距離14勝15.7%スピードの出方を見る入口。
マイル前後33勝37.1%もっとも厚く出やすいゾーン。
中距離27勝30.3%クラシックや古馬中距離へつながる。
長距離15勝16.9%母系や馬体次第で広がる余地。

タイプで見る代表産駒

イクイノックス
世界的な評価を得た代表産駒。
ソールオリエンス
皐月賞馬。父の名前をクラシックへ戻した。
ウィルソンテソーロ
ダートの大舞台で存在感を見せる。
ガイアフォース
芝マイルから中距離で力を見せる。

この種牡馬らしさは、前へ出て長く脚を使う父の芯が、産駒では芝中距離を中心にしながら、母系によってマイルやダートへも伸びている。

受け継がれたもの

キタサンブラックは、賑やかな名前の馬だった。けれど強さは騒がしさとは逆の場所にある。毎回のように前へ行き、簡単に止まらず、最後まで踏み続ける。その走りは、イクイノックスで世界へ伸びた。

参考資料・画像クレジット

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