トウカイテイオー、折れても戻ってきた帝王

有馬記念の直線で、トウカイテイオーは一年ぶりの馬には見えなかった。前にはビワハヤヒデがいた。空白は長かった。それでも、脚音はまだ残っていた。

トウカイテイオー(2000年撮影)
Tokai_Teio_20000923F01.jpg / Goki / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
12戦9勝
無敗の二冠
ジャパンカップ
有馬記念復活

有馬記念の直線で、空白がほどけた

1993年の有馬記念。直線に入って、ビワハヤヒデが先に抜け出す。トウカイテイオーはその後ろだった。長い休み明けの馬なら、そこで終わっても不思議ではない。けれどテイオーは一完歩ずつ差を詰めた。止まっていた時間を、ひとつずつ前へ押し戻すような脚だった。

トウカイテイオーの記録

皇帝の子として走り出した

父は無敗の三冠馬シンボリルドルフ。初年度産駒として生まれたトウカイテイオーには、最初から大きな物語が乗っていた。皐月賞と日本ダービーを無敗で勝つ。父の三冠へ続く道が開けたように見えたが、ダービー後に骨折が判明し、菊花賞へは向かえなかった。

引退後のトウカイテイオー
Tokai_Teio_199608.JPG / Hahifuheho / CC0 1.0 / Wikimedia Commons

関係者の言葉

1993年有馬記念後、田原成貴騎手は勝利をトウカイテイオー自身のものとして語ったと伝えられている。長く引用せず、復活の意味を読む手がかりとして置く。

世界を破ったジャパンカップ

1992年のジャパンカップで、トウカイテイオーはもう一度大きな場所へ戻った。海外の強豪がそろう東京2400メートルで、岡部幸雄騎手を背に差し切る。皇帝の手綱を知る騎手が、帝王の背で世界の馬を退けた。

細くても、血は残った

種牡馬としては、数で押す大種牡馬ではなかった。それでもトウカイポイント、ヤマニンシュクル、ストロングブラッドを送り出し、クワイトファインが後継種牡馬になった。太い主流ではない。けれど、折れても戻るという記憶にふさわしく、血は細い線のまま残った。

阪神競馬場のトウカイテイオー追悼記帳台
Memorial_of_Tokai_Teio_IMG_7627_20130908.JPG / Ogiyoshisan / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons

代表産駒に見えるトウカイテイオーらしさ

トウカイポイント

マイルチャンピオンシップを勝った代表産駒。

ヤマニンシュクル

阪神ジュベナイルフィリーズを勝った牝馬。

ストロングブラッド

ダートのかしわ記念を勝った。

クワイトファイン

後継種牡馬として父系をつなぐ役割を担った。

産駒成績

対象:代表産駒の主な勝ち鞍

トウカイテイオーは、数で押す大種牡馬ではなかった。それでもトウカイポイント、ヤマニンシュクル、ストロングブラッドを送り出し、クワイトファインのように父系をつなぐ馬も残した。ここでは代表産駒の主な勝ち鞍と役割から、残された輪郭を見る。

3頭GI級勝ち馬
2頭芝GI馬
1頭ダートGI級馬
父系クワイトファイン
芝 2頭(66.7%)ダート 1頭(33.3%)
短距離1
マイル前後3
中距離1
長距離0

馬場別に見る

区分代表例読み方
トウカイポイント、ヤマニンシュクルマイル前後で大きな勝ち鞍を残した。
ダートストロングブラッド柏記念で父の名を別の馬場へ運んだ。

勝ち鞍の距離分布

距離帯読み方
短距離1ヤマニンシュクルの1400メートル重賞。
マイル前後3代表産駒のGI級勝ち鞍がもっとも集まる。
中距離1トウカイポイントの2000メートル重賞。
長距離0長距離型として広がった系統ではない。

タイプで見る代表産駒

トウカイポイント
マイルチャンピオンシップを勝った代表産駒。
ヤマニンシュクル
阪神ジュベナイルフィリーズを勝った牝馬。
ストロングブラッド
ダートのかしわ記念を勝った。
クワイトファイン
後継種牡馬として父系をつなぐ役割を担った。

この種牡馬らしさは、主流を太く塗り替えるより、折れても戻る記憶を細い血の線として残したところにある。

受け継がれたもの

トウカイテイオーは、勝利数よりも戻ってきた回数で記憶される。父系もまた、強く太くではなく、折れそうな線として残った。そこまで含めて、この馬らしい。

参考資料・画像クレジット

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