8月16日の札幌記念で、友道康夫厩舎のアドマイヤテラとショウヘイが同じゲートに入る。近走で走ってきた距離は違う。それでも父系をたどると、どちらもキングカメハメハへ着く。
父系の共通点の先で、2頭の履歴は大きく分かれる。アドマイヤテラが今年勝ったのは3000メートル、ショウヘイが重賞を2つ取ったのは2200メートル。血統表の近さと、コース上で選ぶ位置の違いを並べて読む1戦になる。
舞台は札幌・芝2000メートル。4コーナー奥のポケットから発走し、最初のコーナーまで約380メートルある。芝コースの高低差は0.7メートル。Aコースの直線は266.1メートルで、全体は大きく緩やかな4つのカーブでできている。直線へ向く前から速さを保ち、短いホームストレッチへ運ぶ力が要る。
芝は北海道開催ならではのオール洋芝だ。ただし、洋芝だから一律に時計が遅くなるとは限らない。JRAのコース紹介は、札幌は水はけがよく、函館ほど雨の影響を受けにくいと説明している。脚をためて最後だけ伸ばす形より、道中の流れと位置取りが長く効く舞台である。
第62回札幌記念は3歳以上の定量戦で、発走は15時45分。友道厩舎の2頭に、芝2000メートルの重賞を連勝したシェイクユアハートを重ねると、同じ距離へ入るまでに積み上げたものの違いがはっきりする。
アドマイヤテラ、3000メートルから戻る
アドマイヤテラは5歳牡馬。3月の阪神大賞典を3分02秒0のコースレコードで勝ち、5月の天皇賞(春)は3着だった。阪神大賞典では6番手で1周目のスタンド前を通過し、2周目の3コーナーで5番手、4コーナーで3番手まで上がった。長い距離を後方で待ち続けたのではなく、勝負どころから位置を押し上げている。
今回は3000メートル、3200メートルから2000メートルへ短縮する。騎手は阪神大賞典と天皇賞(春)で手綱を取った武豊騎手ではなく、坂井瑠星騎手。札幌の最初の約380メートルで、長距離戦より速い流れのどこへ収まるかが、この馬を追う目印になる。
父はレイデオロ。日本ダービーと天皇賞(秋)を勝ち、キングカメハメハの中距離の強さを受け継いだ。母アドマイヤミヤビの父はハーツクライで、父系にはキングカメハメハ、母系にはサンデーサイレンスへつながる血が入る。
父レイデオロの競走生活と血統は、こちらの記事で読める。→ レイデオロの記事
ショウヘイ、2度の2200メートル重賞
4歳牡馬のショウヘイは、2025年の京都新聞杯と2026年のアメリカジョッキークラブカップを勝っている。どちらも芝2200メートルのGⅡで、騎手は今回と同じ川田将雅騎手だった。
京都新聞杯は2番手を進み、最後の直線で抜け出して2分14秒7。アメリカジョッキークラブカップでは4つのコーナーをすべて4番手で通過し、2分10秒8で勝った。2つの勝利に共通するのは、前の集団から離れずに運んだことだ。直線が266.1メートルの札幌でも、その運び方を早い段階で作れるか。アドマイヤテラとは違うところに観察点がある。
父はサートゥルナーリア。その父ロードカナロアを経て、キングカメハメハへさかのぼる。アドマイヤテラはキングカメハメハ直仔のレイデオロ産駒。ショウヘイは1代遠い位置から、同じ父系を受け継いでいる。
父サートゥルナーリアの皐月賞や種牡馬としての歩みは、こちらの記事にまとめている。→ サートゥルナーリアの記事
シェイクユアハート、2000メートルを2つ勝つ
友道厩舎の2頭とは別の線から、6歳牡馬のシェイクユアハートが加わる。父はハーツクライ。2025年12月の中日新聞杯を1分57秒6で勝ち、2026年3月の金鯱賞も1分58秒1で制した。いずれも中京・芝2000メートルで、古川吉洋騎手とのコンビだった。
中日新聞杯は道中8、9番手付近から上がり33秒2。金鯱賞では1、2コーナーを11番手で通過し、4コーナー10番手から上がり33秒5でハナ差をつかんだ。前に付けて重賞を勝ってきたショウヘイとは、同じ2000メートルへの入り方が違う。札幌は中京より直線が短く、コーナーの割合が大きい。シェイクユアハートが進出を始める地点は、友道厩舎の2頭が取った位置と一緒に確認できる。
父ハーツクライの物語は、こちらの記事で読める。→ ハーツクライの記事
最初の380メートルから始まる
アドマイヤテラは、長距離で見せた途中からの進出を2000メートルへ持ち込む。ショウヘイは、2度の2200メートル重賞で守った前の位置を札幌でも取りにいく。後方から2つの2000メートル重賞を勝ったシェイクユアハートは、短い直線へ向く前に動く必要がある。
ゲートが開いたら、まず友道厩舎の2頭の間隔を追う。約380メートル先の1コーナーで、坂井騎手のアドマイヤテラと川田騎手のショウヘイが何番手にいるか。そこへ古川騎手のシェイクユアハートがどれだけ離れて続くか。札幌記念の最初の答えは、ゴール板を1度通る前の隊列に出る。