今週の1戦: 新潟記念(2026年8月30日)— 菊花賞馬が2頭いる夏の終わり

2023年の菊花賞馬ドゥレッツァと2024年の菊花賞馬アーバンシックが、ともに59kgで新潟外回りの658.7メートルへ向かう。

2023年の菊花賞馬ドゥレッツァと、2024年の菊花賞馬アーバンシック。京都の3000メートルを1年違いで勝った2頭が、8月30日の新潟記念では同じ59kgを背負う。今回は2000メートル。しかも、直線が658.7メートルある外回りだ。

確定した出馬表は10頭。そこには2024年の牝馬クラシックを分け合ったチェルヴィニアとステレンボッシュ、今年のNHKマイルカップを勝った3歳馬ロデオドライブもいる。過去の大レースの名前だけなら、GⅢの欄へ収まりきらないほど濃い。

新潟記念は2025年から別定戦になった。舞台はコーナーを2つだけ回る芝2000メートル。スタートから3コーナーまで約950メートルあり、馬群が落ち着くまでの時間も長い。直線へ出ると、各馬は横へ広がりながら残り658.7メートルを走る。3000メートルを勝った2頭が、2000メートルの流れの中でどこに収まるか。レースを見る軸はそこに置ける。

ドゥレッツァ、長い空白を越えて戻る

ドゥレッツァは2023年の菊花賞馬で、今回が6歳の夏になる。2025年のジャパンカップは出走取消となり、実戦は同年10月の京都大賞典以来。約10か月ぶりのレースが、直線の長い新潟外回りになった。鞍上は田辺裕信騎手で、負担重量は59kg。

菊花賞の3000メートルを勝った事実は、単に長く走れるというだけではない。道中で力みすぎず、脚を使う場所まで余力を運べた証拠でもある。一方、今回は1000メートル短い。向正面の長い助走区間で、2000メートルの流れに急かされず走れているか。中継では、3コーナーへ入る前の位置と手応えを確かめたい。

父はドゥラメンテ。皐月賞と日本ダービーを勝ち、種牡馬として残せた時間は2021年までと短かった。それでもドゥレッツァをはじめ、産駒は父が現役時代に走らなかった長距離でもGⅠへ届いた。休養明けの息子が新潟の長い直線へ向く姿には、限られた世代へ渡された血の続きがある。

父ドゥラメンテの競走生活と産駒へ残した血は、こちらの記事で読める。→ ドゥラメンテの記事

1年後の菊花賞馬、アーバンシック

翌2024年の菊花賞を勝ったのがアーバンシックだ。5歳になった今年は三浦皇成騎手とのコンビで59kg。ドゥレッツァと年齢は1つ違うが、菊花賞馬という肩書きも、この日の負担重量も同じになった。

父スワーヴリチャードは、大阪杯とジャパンカップを勝った中距離馬だった。その初年度産駒から出たアーバンシックは、父の主戦場より長い3000メートルでクラシックを取った。父から受けた中距離の速さを、息子は折り合いと持続力へ広げたことになる。

父スワーヴリチャードの現役時代と初年度産駒の歩みは、こちらの記事にまとめている。→ スワーヴリチャードの記事

新潟の直線は長いが、入口で後ろにいれば無条件に間に合うわけではない。アーバンシックが内で進路を待つのか、早めに外へ出すのか。直線へ向く瞬間、田辺騎手のドゥレッツァとの間に何頭いるかで、2頭の選んだ競馬が見えてくる。

チェルヴィニア、クラシックの続きが新潟にある

チェルヴィニアは2024年のオークスと秋華賞を勝った。あの世代の牝馬クラシックでは、ステレンボッシュが桜花賞を取り、チェルヴィニアが残る2冠を手にした。2頭は今回、ともに5歳牝馬、56kgで同じ出馬表に入っている。チェルヴィニアは津村明秀騎手、ステレンボッシュは戸崎圭太騎手が騎乗する。

チェルヴィニアにとって新潟は初めて勝った競馬場でもある。2歳夏の芝1800メートルで初勝利を挙げ、そこからGⅠを2つ勝つところまで進んだ。3年後、同じ外回りへ戻ってくる。

父はハービンジャー。英国のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを勝った後、日本で種牡馬になった。チェルヴィニアが東京2400メートルのオークスと京都2000メートルの秋華賞を続けて勝てた距離の幅は、この父の中距離血統とも重なる。

父ハービンジャーが日本で残してきた産駒の記録は、こちらの記事で読める。→ ハービンジャーの記事

ステレンボッシュの父はエピファネイア。桜花賞で先着した馬と、秋華賞で先着を許した馬が、今度は牡馬もいる別定戦で並ぶ。2頭を探すなら4コーナー。直線へ出た時点で、どちらが先に加速できる場所を確保しているかが目印になる。

父エピファネイアの菊花賞、ジャパンカップと種牡馬としての歩みは、こちらの記事にまとめている。→ エピファネイアの記事

3歳馬ロデオドライブは初めての2000メートル

古馬のGⅠ馬が並ぶ中に、3歳のロデオドライブが入った。今年のNHKマイルカップを勝った馬で、今回は57kg。C.ルメール騎手とのコンビで、初めて2000メートルを走る。

父はサートゥルナーリア。自身は皐月賞を勝ち、神戸新聞杯では2400メートルもこなした。ロデオドライブがこれまで走った最長距離は1800メートルで、今回はそこから200メートル延びる。古馬との差だけでなく、マイルGⅠを勝った速さをどの地点まで保つかという、別の物差しを持ち込む馬だ。

父サートゥルナーリアの無敗の皐月賞と種牡馬としての出発は、こちらの記事で読める。→ サートゥルナーリアの記事

658.7メートルで、2つの菊花賞が並ぶ

4コーナーを回る。田辺騎手のドゥレッツァと三浦騎手のアーバンシックが、658.7メートル先のゴールへ向けて体勢を整える。2頭の間には、2024年の牝馬クラシックを走った馬たちや、今年の3歳GⅠ馬がいるかもしれない。

京都の3000メートルでは1年違いだった2頭が、新潟の直線では同じ画面に入る。夏の終わりに待っているのは、菊花賞馬2頭の名前が横に並ぶ、その数秒だ。

参考資料

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